人間ドック二次健診
「要精査」の記載があれば、自分では症状がなくても、気付かない眼の病気が隠れているかもしれませんので、お早めに眼科を受診されるとよいでしょう。
よく記載されている検査結果と、その対応について説明していきます。
視力低下
健康診断で行われる基本的な検査で、裸眼視力と矯正視力とがあります。
結果は 右0.1(1.0)左0.3(1.2)のように記載され、( )内が矯正視力です。
矯正視力の低下、つまり眼鏡やコンタクトをしても見えない状態では、眼鏡などが合っていないか、視力が低下する眼の病気ある可能性があります。
必要な検査は?
眼科で再度視力検査をします。
健康診断の視力検査は、器械をのぞいて行う方法が多いため、見えにくいことがあり、実際よりも低く測定されていることがあります。
そのため、眼科で再度視力検査をして、本当に視力低下があるのか調べます。
裸眼やお手持ちの眼鏡で視力が出ず、検査用のレンズで見えていた場合は、眼鏡の処方をお勧めします。
一番見えやすいレンズを入れても視力が出にくい場合は、眼に何か病気がないか調べるため、散瞳検査などの詳しい検査をします。
眼圧が高い
眼圧とは眼球の内側から外側に働く力で、簡単に言えば眼の硬さです。
正常値は10~21mmHgで、22以上になると異常と判断されます。
眼圧が高いと、緑内障になっている可能性もあるため、検査を行います。
必要な検査は?
眼科では、もう一度、眼圧計で測定します。
健診や眼科外来で使われている器械は、眼に空気を当てて、角膜の変形度合いから眼圧を測定しています。
眼に接触しないため、麻酔も不要で、早く測定できますが、睫毛や涙の影響を受けやすく、緊張により実際よりも高く測定されることがあります。
非接触型の眼圧計で測定してもやはり高い場合は、点眼麻酔をして医師が測る、アプラネーションという器械を使います。
さらに、診察で眼の神経に緑内障の変化がないか、眼の炎症、その他異常がないか確認します。
視神経乳頭陥凹拡大
視神経乳頭とは眼の視神経の出口の部分です。
その部分の凹みが大きくなることを視神経乳頭陥凹拡大といい、緑内障が疑われます。
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眼底出血
眼の奥の網膜に出血を起こしたもので、様々な原因があります。
必要な検査は?
視力と眼圧を測定し、瞳を目薬で広げて眼の奥をしっかり見る「散瞳検査」が必要となります。
瞳孔が広がると、眼底写真と、三次元画像解析(OCT)を撮影し、眼底検査を行います。
検査自体は1時間位で終わりますが、検査後も4~5時間ほどまぶしくて見えにくい状態が続きますので、運転できなくなります。
誰かに送って頂くか、公共の交通機関で眼科を受診しましょう。
どのような疾患が考えられるか?
糖尿病網膜症、高血圧性網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性、網膜細動脈瘤などが考えられ、それぞれの疾患に応じた治療をします。
網膜白斑
網膜に白い病変が見られるもので、硬性白斑、軟性白斑があります。
網膜出血と同じく、散瞳検査と眼底写真、OCT撮影を行います。
硬性白斑の原因
網膜の血管が痛んで、血液の中のタンパク質などが漏れ出し、網膜の中に残って白くなったものです。
網膜の血管が障害される、糖尿病網膜症、高血圧性網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性、網膜細動脈瘤などが原因となります。
軟性白斑の原因
網膜の血流が悪くなり、神経線維に浮腫が起こったものです。糖尿病網膜症や高血圧網膜症、網膜静脈閉塞症のやや進行した状態の可能性があります。
高血圧/動脈硬化性変化
HとSの意味は?
Scheie分類といい高血圧と動脈硬化性変化の程度を分類する指標です。
Hは高血圧性変化、Sは動脈硬化性変化を表し、ともに第1~第4に分類し、数字の大きい方が重くなります。
網膜は血管を直接見ることができる唯一の臓器で、網膜の血管を見ることにより、全身の血管の状態を推測することができます。
高血圧性変化は、網膜の血管が収縮して細くなっている状態です。
内科で血圧の検査および必要に応じた治療を受けて下さい。
眼科的な治療は特にありませんが、高血圧性変化が進むと、網膜静脈閉塞症などの網膜疾患などを起こすことがあり、定期的な眼底検査は必要です。
動脈硬化は、加齢以外にも高血圧や高コレステロール血症で起こりますので、内科的な治療が必要となる可能性があります。
中間透光体混濁
中間透光体とは
眼の中のレンズである水晶体や、眼球の大部分を占める硝子体というゼリー状の物質のことを言います。
もともと両者とも透明な物質ですが、何らかの原因で濁ってしまうと、眼底写真で網膜がはっきり写らず、中間透光体混濁と記載されます。
必要な検査は?
視力、眼圧を測定後、散瞳検査をして、水晶体や硝子体に異常がないか、網膜にも異常がないか検査をします。
考えられる疾患は?
一番多い原因は白内障です。その他硝子体出血や硝子体混濁などが考えられます。