近視の進行を抑える目薬
当院では、1日に1回、目薬をさすことによって、お子様の近視の進行を軽減させる治療を行っております。
低濃度アトロピン療法と呼ばれる治療法です
低濃度アトロピン療法の特徴
- 近視の進行を平均約60%軽減させる
- 日中の光のまぶしさに影響を及ぼさないため、サングラスもほぼ不要
- 眼の遠近調節機能(手元を見る作業)にほとんど影響をあたえません
- 毎日就寝前に一滴点眼するだけの、非常に簡単な治療法です
- GMP(医薬品製造管理および品質管理基準)準拠の工場で製造されています
近視の原因は?
人間は生まれたときには遠視であり、6歳頃にほぼ正視になり、学童期に近視が進行します。
子供の近視は、主に眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピント位置がずれることにより生じるケースが多くあります。
近くを見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸長が伸びてしまうと戻ることがありません。
そのため、小学校入学から半数以上が近視になる高校生までの間に、眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するためには重要となります。
近視になりやすい要因
- 遺伝的要因 両親の片方または両方が近視
- 環境要因 近くを見ることが多い、戸外で活動することが少ない、都市に住んでいる
マイオピン点眼薬の効果
マイオピンは、近視の進行を遅らせるという点で、統計的にも臨床的にも有意義な効果が確認されている治療法の一つです。
アトロピン1%は1960年から、すでに近視治療用に使用されていましたが、瞳孔が開くことによるまぶしさや、眼の調節機能をを一時的に麻痺させるため、手元がぼやけて見えにくくなる副作用がありました。
マイオピンはアトロピンを最適な超低濃度(0.01%)のにしたもので、1%アトロピンのような不快な副作用を回避しつつ、近視の進行スピードを効果的に抑えます。
マイオピン点眼薬は安全ですか?
- アレルギー性結膜炎および皮膚炎の報告はありませんでした
- 眼圧に影響を与えないとの報告でした
- 白内障を形成するとの報告はありませんでした
- 点眼終了後も目の遠近調節機能の低下、また瞳孔がひらき続けてしまうという報告はありませんでした
- 電気生理学上、網膜機能に影響を与えるという報告はありませんでした
*シンガポール国立眼科センターで、アトロピン0.01%点眼を2年間継続した後の結果によります
日本国内での臨床試験の結果は?
マイオピンは国内未承認の目薬です。
国内での臨床研究では、少人数に対するものですが、6歳から12歳の児童に対しての研究結果が出ており、点眼中は、瞳孔の大きさや調節にやや変化があるものの、日常生活に影響を与えなかったことが分かっています。また、その他の副作用は認められなかったということです。
また、国内でも7大学による大規模な臨床試験が始まり、H30年秋に結果が出る予定です。
国内での臨床試験の結果が出ましたらお知らせします。
対象となる方
- 6歳以上12歳以下の方
- 中等度(-6D)以下の近視の方
- 初めての処方後は1か月後、その後3か月毎、定期的な通院が可能な方
治療の流れ
初診では、視力、屈折(近視の程度)、眼圧、瞳孔径、眼疾患の有無について検査をし、目薬を処方します。
目薬は1本5mlで、就寝前に、両眼に1か月間点眼して頂きます。開封後1か月過ぎた目薬は使用できません。
1か月後に受診して頂き、上記の検査を行い、副作用が出ていないか調べます。
問題がなければ目薬を3カ月分処方し、3か月毎に来院して頂きます。
治療費用
マイオピン点眼薬は保険適応がありませんので、自由診療になります。
検査・診察代として2800円、お薬は1本2500円です。
(2019年10月1日より消費税増税に伴い、1本2500円から2550円に改定させて頂きます)
同じ「近視」という病名に対し、自由診療と保険診療を同日にはできませんので、例えば眼鏡処方などは別の日になります。
