網膜裂孔(円孔)に対するレーザー治療
網膜裂孔(円孔)とは網膜に穴があくこと
眼の奥には網膜という、カメラで例えると、フィルムにあたる膜があります。網膜は約0.2㎜の薄い膜で、光を感じる視細胞が存在します。この網膜に何らかの原因で裂け目(網膜裂孔)や丸い穴(網膜円孔)が開くことがあり、放置すると網膜剥離になってしまうため、レーザーで治療します。
網膜裂孔(円孔)の原因
眼の中には硝子体という無色透明のゼリー状の物質がつまっています。 この硝子体は年齢とともに液化し、さらに網膜から離れていきます。この現象を後部硝子体剥離といいます。 後部硝子体剥離が起こるとき、網膜に薄い部分(網膜格子状変性)や網膜と硝子体との間に癒着の強い部分があると網膜が引っ張られて裂け目(網膜裂孔)ができます。 また、後部硝子体剥離が起きていない若い方でも網膜の薄い部分に委縮性の孔(網膜円孔)ができることがあります。
どんな人に起こりやすい?
網膜に穴が開きやすいのは、強い近視の方、後部硝子体剥離の起こる50歳以上の方、アトピーのある方、眼に外傷を受けたことがある方です。
どのような症状がでるのでしょうか?
黒い点や糸くず状のものが見える「飛蚊症」という症状が出ます。また、硝子体が網膜を引っ張る刺激を網膜が光の刺激と認識するため、暗いところで光が見える「光視症」とよばれる症状が出ることもあります。網膜剥離まで進むと視界の端の方からカーテンが下りてくるように見えない部分が出てきます。
治療は?
網膜裂孔の周囲にレーザーを当てて熱の力で固めます(網膜光凝固)。穴自体はふさぐことはできませんが、周りを固めることによって網膜剥離に移行するのを防ぎます。
実際に当院で治療をした患者さんの写真です。網膜円孔の周囲をレーザーで凝固し、網膜剥離への移行を予防します。
実際の方法
まず、瞳孔を広げる目薬をさして、20~30分程お待ち頂きます。さらに麻酔の目薬を点眼した後、治療用のコンタクトレンズを眼の上にのせて、光凝固を行います。
実際にレーザーをする時間は、穴の大きさや数にもよりますが、10分程度です。光凝固は網膜に軽くやけどを作る治療ですから、少し鈍痛を感じることもあります。痛みなどで眼が動いてしまうと危険ですので、我慢できない場合は可能であればレーザーの強さを少し下げるか、休憩をとって頂きます。
レーザーの瘢痕が固まるまで10日間ほどかかりますので、その間は激しい運動を控えて下さい。
まとめ
黒いものが飛んで見えたり、暗いところで光が見える症状があったときは、網膜裂孔ができている可能性がありますので、お早めに眼科を受診し、まずは検査を受けてください。 その際は瞳孔を広げる検査をいたしますので、運転以外の方法でご来院下さい。 網膜剥離に進行し、レーザーで対応できない場合は、関連病院にご紹介します。